新刊『負債の網』をより理解していただくために

『負債の網』のキーワードを順番にプレ解説。

今回は、「ポピュリズム」は大衆迎合主義とはいえない!です。

近刊予定の『負債の網』に関する予告よもやま情報を不定期で掲載します。
●『負債の網』では、ひとつの柱として通貨改革をめぐるアメリカ政治史における「ポピュリズム」のことにふれています。「ポピュリズム」というと、日本のマスコミ用語としてはあまり良くない印象をばらまかれていますが、思想史的には、もうすこし丁寧にみていく必要があります。その参考文献としてよいのが、『ポピュリズムーデモクラシーの友と敵』カス・ミュデ+クリストバル・ロビラ・カルトワッセル著(永井、高山訳)白水社です。この本では、アメリカ史の人民党などのポピュリズムの歴史にもふれていますが、ポピュリズムの定義的特徴として、1、人民(普通のひとびと)が主体 2、エリート批判(巨大金融やマスコミ・官僚組織への批判) 3、一般意志(ルソーのいう、人民が共同体に参加し、共通の利益を強いるよう立法化する能力)をあげています。この内容は、興味深いもので、『負債の網』の金融経済批判の歴史をたどる時にとても参考になると思います。
(また、ポピュリズムの傾向として、レファレンダム、プレビシットなどの直接民主制(ダイレクトデモクラシー)に親和的とも説明があります)